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足裏を通じて心癒す |
入り口に生けられた十数本のユリの花。白で統一した室内には柑橘(かんきつ)系の香りが漂う。昨年開いた東京・赤坂のサロンは、足を踏み入れただけで癒やされるかのようだ。足裏に適度な刺激を与えて臓器の活性化を図るリフレクソロジー。ここ数年、注目を浴びている健康産業だ。
スタートは決して早くない。大学卒業後、米国でデザイナーの助手をし、帰国後は外資系企業などで働いた。会社で働くことに限界を感じていた頃、芳香を用いて全身をほぐすアロマセラピーに興味を持った。人の疲れを取る仕事がしたかった。勉強中に出会った英国人セラピストから、リフレクソロジーも勧められ、40歳でプロを目指した。
当時は国内に学べる機関がほとんどなく、年数回、英国に出かけて勉強を続けた。知り合いに足のモデルを頼んで実習をこなし、英国の技術認定機関の資格を取った。この頃、自宅で少しずつアロマセラピーとリフレクソロジーの仕事を始める。
日本でリフレクソロジストとして働くには、特に資格が必要なわけではないが、知識と技術力を判定する認定試験がある。一般的にはスクールに通って勉強し、大きなサロンに就職して働きながら経験を積むのが近道。ある程度経済的なめどが立ったら、自宅などで開業したほうが自分のやり方を実践できるという。
「お客さまと一対一で向き合い体をケアするには、通り一遍の知識ではできない」が持論だ。専任講師を務める日本リフレクソロジスト認定機構(JREC)の講座では、解剖生理学に力を入れる。
仕事の合間を縫って専門学校に通い、昨年、栄養士の資格も取った。大腸がんのため45歳で亡くなった実姉の看病体験が背景にある。病状が進んで口から摂食できなくなったが「味のするものを噛(か)みたい」。カツ丼や鰻(うなぎ)を口に含ませると、顔色が見る見るよくなった。「食べることってすごいと思いました。ちゃんと食べて寝る、当たり前の生活をする手助けができたら」
施術前の問診では、普段の暮らし方や食事内容、運動量などを詳しく聞く。どの栄養素が不足しているか、カロリー過多になっていないかなどが分かり、適切なアドバイスができるようになった。
講師の仕事が忙しく、1カ月の客は40人程度と多くないが、8年前から通い続ける人もいる。「ここがあるから仕事が頑張れる」と言ってもらえるのが喜びだ。
朝日新聞 2004年4月19日(月)夕刊より
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