
このたび、医療の現場でリフレクソロジーを導入されているクリニックに取材を行うことができましたので、ご紹介いたします。(会報誌Holos掲載記事より)
透析患者への合併症ケアを目的に、リフレクソロジーを導入している医療法人 薫風会 高桑内科クリニックの高桑薫院長にお話を伺いました。
今まで制限が多かった透析療法自体の常識というのを全部壊して、僕自身のやり方で透析療法を行っていこうと思ったからですかね。制限などは何もいらない。しっかり運動をして、しっかり食べて、しっかり透析をやる。当院の透析患者さんの顔を見てください。とても良い顔をしています。
岐阜県の透析患者の会があるのですが、うちの患者さんはそこに行くのが嫌だって言うんです。そこに来る人は顔色が良くないって言うんですよ。自分たちはそうではない。あれが俺たちの顔かっていう感じで、その会に行くのが嫌だって言うんです。うちの患者さんはパーッと見るとわかっちゃうんですよ。顔の色も肌の色も良いですからね。何の制限もしていませんから、食べる人は本当よく食べますよ。
透析患者さんの原疾患で多いのは慢性腎炎、今は糖尿病ですね。原疾患が何であろうと、透析が始まると腎臓がない状態というか、透析が腎臓の代わりのことをしているということです。言い換えれば、腎臓以外の機能は普通の人と変わらないということです。だから、患者さんはしっかりバランスの良い食事をして、運動もおおいにやれと。
スタッフには、透析はもの凄く大変なことをするんですよ。ひとつ間違ったら死ぬこともある。でも、それを絶対に表面に出すな。表面には出さないけれども、すべてに注意を払いなさい。ただ、それを患者さんに悟られるな。悟られないための勉強はいくらやっても構わないと言っています。
僕はどんなことでも新しいことを取り入れるということは良いと思っています。クリニックの方針である『透析患者さんとともに』の一貫で、患者さんに良いものであれば取り入れようという考えです。患者さんに良いものならリフレクソロジーをやりなさいということなのです。
以前、僕自身がむち打ちになったときにいろいろなところにかかったんですけど、治らなくて、麻酔科に行って、鍼をやったら治ったのです。それから全身ガタガタになったときには、鍼をやってもらうと本当に良く効くんですよね。そこから経絡について勉強をしまして、足裏にはもの凄いツボがあることは知っていました。スタッフから「リフレクソロジーをやりたい」と言われたとき、患者さんにとって良いものかと確認をしたら、「良いものです」という返事だったので、これは面白いと思って許可をしました。
ただ、導入の仕方については、「やってあげる」ではなく、「やらせてください」というスタンスでやりなさいと言いました。その結果、何の違和感もなく入っていきましたね。スタッフは看護師の業務で忙しいなか、リフレクソロジーを一生懸命勉強したからこそ任せられる訳です。スタッフとの信頼関係です。
透析患者さんには、透析をやりながらリフレをやってもらっていいなぁとよく言うんです。患者さんも「先生、楽ですよ!足を触って貰って、とっても気持ちいいですよ!」と喜んでいます。本当なら透析を受けながら苦痛な時間が、心地良い時間になるんですよ。
そのほかに、高野山大学客員教授であった飛騨千光寺の大下大圓先生を臨時職員として招き、患者さんが困ったときの心のケアとして、スピリチュアルケアを月に1回ぐらいのペースでお願いもしているんです。
フットケアも取り入れています。透析患者さんは足にいろいろと病変を持っている方が多いのです。これもリフレクソロジーを取り入れてからスタッフが患者さんの足をみる機会が増え、「年間を通して患者さん全員の足をみていきましょう」という提案があり、動き出すきっかけになりましたね。そのほかにも気功をやったり、透析前に音楽にあわせてストレッチをやったり、いろいろやっているんですよ。
透析は患者さんにとって大変なことなので、病院としてはなるべく患者さんの身体の負担にならないようにということを考えて対応しています。患者さんたちは気分的に楽だと思いますよ。一番よくわかるのが、終わったときの会話ですね。これが医者と患者とスタッフの会話か?と思います。いろいろな特性を持っているスタッフがいるから成り立っているということです。
実際に透析患者へリフレクソロジートリートメントを行っている同クリニックの看護師で、JRECマスター会員の山本弥生さんにもお話を伺いました。
透析中、患者さんは針が抜けないか、途中でトラブルが起きないかと、少なからず緊張を強いられています。透析中の施術では患者さんは眠ってしまうことが多く、なかには透析中に眠ってひと休みしたいからと施術を希望される患者さんもいます。足が軽くなった、足だけでなく、身体全体がほぐれたといった感想を持たれるようです。施術後は、足がポカポカしてきたと言われますが、足だけでなく、身体も温かくなったと言われる患者さんもいます。
下肢の循環を促すため、むくみが軽減されるようです。また、しもやけも軽減されるようです。少し症状が出てきた段階で施術すると、(本当は症状が出る前に施術できれば良いのですが、時間的に無理なことがあって)症状が悪化しないだけでなく、施術後には症状がすっかり改善したケースが多々見られました。また、透析患者さんは便秘の傾向が強いのですが、施術するとすっきりと便が出たと言われます。
透析期間が長くなるとアミロイドという物質がたまり、関節が硬くなり、可動域が制限されるようになる患者さんがいます。筋肉もこわばり、歩行障害をきたした患者さんに施術するうちに、下腿の皮膚や筋肉がほぐれ、関節の可動域が広がったケースもありました。
最近は糖尿病性腎症が原因の透析患者が増加傾向にあります。糖尿病の患者さんは下肢の知覚鈍麻をきたしていることが多く、患者さん自身が足の病変に気づかないでいる場合もあります。リフレクソロジーはそういった患者さんの下肢を観察する良い機会でもあります。施術により血行が良くなると、一時的でも知覚が改善するようで、足底が地面に接する感覚がわかるようになり、歩きやすくなったと言う患者さんもいました。
何と言っても、つらいことが多い透析中に、少しでも安らぐ時間を持っていただけることが、リフレクソロジーの一番の目的と考えております。
※会報誌Holos No.28(2010年5月発行)掲載記事より抜粋
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