JRECのリフレクソロジースキルが医療や介護・福祉の現場で取り入れられているのは何故でしょう?

日本リフレクソロジスト認定機構 理事川口 香世子先生よりメッセージ

予防から看取りまで

川口 香世子(日本リフレクソロジスト認定機構 理事)

『介護予防リフレクソロジー講座』が開講されてから7年が経過しました。この間に多くの医療従事者や介護の現場で働く方々に本講座を受講していただくことができ、また、多くのインストラクターも後進の指導に当たり、たくさんのサポートケア・リフレクソロジストが現場で活躍しています。

今日まで介護予防リフレクソロジー講座のスクーリングを何回も担当させていただきましたが、毎回、参加された看護師さんや介護士さんには頭が下がる思いでした。日常業務が過酷で、休日は少しでも体を休めたい、自分のために時間を使いたいと思うのが当然だといえる状況の中、その貴重な休日を研修に当て、翌日には担当の患者様や利用者様に技術を提供していらっしゃるのです。

受講された皆さんが、お金や名声が欲しいと思っているわけではなく、患者様や利用者様のことだけを考えていることは、学ばれている姿勢から伝わってきます。その気持ちのこもった手で触られているのですから、患者様や利用者様が癒されていることは間違いありません。

症状の改善に期待できるリフレクソロジーのテクニックと精油の効果
リフレクソロジーもアロマセラピーも、病気や障害を持つ方たちに有益な方法だと言えます。リフレクソロジーの特徴的効果は、内臓を動かすこと、血流の促進と言えるでしょう。アロマセラピーは各精油が様々な効果を持っているため、適切に精油を選択することで、リラックス効果はもとより、症状の改善が期待できると言われています。

リフレクソロジーのテクニックと精油の効果で、より良い結果を残せると考えています。

私は障害者センターで活動を開始したときから、精油を用いてリフレクソロジーや背中、腹部、手部などへのトリートメントを提供し、施設やご家族から良い評価をいただいてきました。

高齢者施設でも、利用者様やご家族からも、香りの効果や、精油成分の違いが、効果の違いにつながることを実感していただいてきました。

家族の絆を確認できる瞬間
家族にとってもトリートメントは救いになると思います。私は姉を病気で亡くしていますが、姉の看病をしていた時にはすでにこの仕事に就いていましたので、足湯をさせ、そのあとにリフレクソロジーやハンドトリートメントをしていました。とても喜んでいて、見舞ってくれた友人に「お姫様気分よ、香世子はマッサージが上手なのよ。」と言ってくれていました。家族はただ病気の進行を、悲しい気持ちで見ているしかできない中、私は姉と触れ合うことができ、その悲しさと、何もしてあげられなかったという後悔を少しだけ減らすことができました。

セラピストとして自分がトリートメントすることがすべてだとは思わず、トリートメント方法をご家族に伝え、家族の絆を確認できる瞬間を提供することも大切な仕事だと思います。伝えるためには、やはり訓練と実績を積み上げていく必要があるでしょう。

トリートメントを通して伝わる気持ち
人の手は色々な感情を伝える道具だと思います。障害をもつ方を応援する気持ちや、高齢者が歩んできた人生に敬意を払う気持ちはトリートメントを通して伝わると思います。

痛みに対しての反応は、愛する人が手をつないでくれていると、一人で痛みを耐えているときよりも薄らぐそうです。「手をさするだけ」なのではなく、手をさする行為は痛みを軽減できる、とても有意義な行為なのです。

学生の頃、友人のお姉様の生理痛が強く、生理の数日間は腹痛で動くことができなかったのですが、今のご主人様がベッドの横でずっと手を握っていたという話を聞き、友人と「なんでしょうねぇ。手を握ったって痛みが減るわけじゃないのにね。」などと、この事実を知らなかった当時は冷やかしながら話をしていましたが、まさにこれは痛みの軽減になっていたのですね。

私たちが手を当てさせていただくことで、患者様や利用者様の不安感や痛みは一時的にでも軽減させることが可能と言えます。看取りに入られた患者様や利用者様にとっても、トリートメントが有効に作用することは確実です。

目的に添うトリートメントを行うために
あるテレビ番組で、認知症の患者に朝にローズマリーとレモンのブレンドを用いて覚醒、夜はラベンダーとオレンジのブレンドで鎮静をすると、認知症の改善効果があると放映され、業界からこの4種類の精油が無くなってしまいました。精油だけではなく、小分けするガラスの小瓶まで無くなってしまったのには驚きました。それだけ、認知症患者をご家族に持っている方が多く、またご苦労も多いということだと思います。

他の覚醒効果や鎮静効果がある精油でも、同様な結果をもたらすことは可能だと思います。夜鎮静する精油を使用することで、睡眠の改善や、精神的に落ち着くことで介護者の負担も減るのではないかと思います。香りをかぐことだけでも有効なのであれば、足部や手部のトリートメントに精油をブレンドしたクリームやオイルを使用することで、香りの効果と手を当てる効果で更なる効果が期待でき、より大きな結果を残せるでしょう。

トリートメントには常に目的があると思います。目的に添うトリートメントを行うためには適切な部位に、適切な精油を用い、適切なテクニックを提供する必要があります。看護や介護者がリフレクソロジーやハンドトリートメントの技術や、精油の正しい知識と適切な使い方を学んでいなければ、目的を達成することは難しいでしょう。

この技術と知識を習得し、経験を重ねていくことで、看護師さんや介護士さんが多くの施設や病院で、活躍できるように願っています。


介護士として仕事をしている、JREC会員の曾根香織さんにお話を伺いました。

介護施設でのリフレクソロジートリートメント

私は、現在介護施設で働いています。きっかけは祖父が脳梗塞で倒れてから、「自分にできることはないか」と考えたからです。介護の仕事をしてみて一番驚いたのは、高齢者は年齢を重ねるごとに色々な病状を持っていて多種の薬を内服してい
る事です。その人の症状、その時の状態により介護の方法が変わってくることを知りました。

その後、介護福祉士を取得しましたが、次の課題として「高齢者も含め、みんなが癒されることはないか」と考え、「もっと身
体について知りたい!癒してあげたい!」という気持ちが高まり、リフレクソロジー(レギュラー)の学習がスタートしました。

だんだん身体の仕組み、栄養の働きを理解できるようになり、実際に身体の構造や流れが想像できるようになると、今までとはリフレクソロジーの見方も変わりとても嬉しくなり、改めて「人の身体は凄い」と実感しました。また、カウンセリングの学習からは、緊急の対応時のため、その人の病名や症状、どんな薬を処方されているか、また、かかりつけ医はどこか、まで知っておく必要があることも知りました。

トリートメントは、介護と同じように誰にでも同じような対応ができるわけではなく、禁忌もあります。高齢者は多種の薬が処方されていて、降圧剤、下剤、抗血栓薬はよく処方されています。健常者に比べ禁忌や薬の副作用もあるので、特に注意が必要ですが、高齢者に対して怖く避けるのではなく、知識があり、トリートメントできることを自分の強さに変えたいという想いから、JREC認定サポートケア・リフレクソロジストライセンス対応、介護予防リフレクソロジー講座も受講しました。

現在は、アセスメントを再確認し情報を把握した上で、月に2回、入居者様に足と手のトリートメントをしています。始めた頃は不安な表情をされた方もいましたが、今では「今度いつやってくれるの?」「やって!やって!」という声が多く聞かれるようになってきました。

これからも初心を忘れず自分の知識を高めていき、『想い』のある介護、リフレクソロジーをしていきたいと思います。

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