前回は「ストレス」によって身体の機能が阻害されるということを書きました。

「ストレス」すなわち「外部からの刺激による緊張状態」が長く続くと、自律神経のバランスが崩れ、様々な症状が現れるようになります。

第1回目のお話で「抗体」についてご説明いたしましたが、ここで「抗体」についてもう少し詳しく説明しましょう。

血液の成分は赤血球、白血球、血漿の3つと、小学校や中学校で習ったと思います。

このうち白血球が免疫機能に関与しており、外敵から身を護る働きをするというものでしたね。
白血球は、その作られ方から単球(マクロファージ)リンパ球顆粒球と3つに大別され、さらに顆粒球は「好中球」「好塩基球」「好酸球」の3つに分かれますので、構造的には5つの種類があります。

この中のリンパ球が、ウィルスなど小さな異物や腫瘍細胞を攻撃して駆逐しますが、その中での特徴や産生される部位の違いから、いくつかに区分されます。

哺乳類において、骨髄(bone marrow)でほぼできあがるものを「B細胞」、また骨髄から胸腺(thymus)に移動して成熟するものを「T細胞」、また外敵に感染し影響を受けた細胞を攻撃できる特性を生まれつき持っている「NK細胞(ナチュラルキラー細胞)」といったものがあります。

「抗体」とは、この「B細胞」によって作られます

「抗原」に触れることで「抗体」が作られますが、この「B細胞」が様々な異物を抗原として反応し、それに対応する「抗体」を作りだします。さらに、一度「抗体」が作られるとそれは細胞内に記憶されるので、いったん「抗原」が全て排除されても、後々同じ抗原が侵入してくるたびに「抗体」が作られて同様に攻撃します。

これがまさに「免疫力がつく」状態で、一度体内に侵入した異物に対しては、いつまでもそれを「抗原」と認め対応する「抗体」を作り出すことができます。

「抗体」はタンパク質でできていますが、別名「免疫グロブリン(immunoglobulin)」などとも呼ばれ、略称として「Ig」と表記されます。

血球で産生されますから主に血液中やリンパ液中にありますが、その中の「免疫グロブリンA(IgA)」は咽喉や消化管など、空気や食物といった外部のものと直接触れる器官に多く存在し、外敵から身を護る最前線で活動しています。小腸の腸液や母乳、そして唾液中にも見られるため、人の免疫機能が正常に働いているかを簡易的に検査する際に役立ちます。

そして、疲労が蓄積していたりストレス状態の際には、この「IgA」の値が低下することが、判明しています。

そのため、アスリートの疲労度(運動負荷状態)を計測する指標にもなっています。

この免疫力の低下には、ストレスによって分泌されるステロイドホルモンや、第2回でお話したように消化器系のへの影響により、腸内の状態が阻害されるといったことが要因と考えられています。

そのほか、喫煙も免疫系には大変悪い影響を与えます。

気道や気管支の細胞を弱らせるため、やはり「IgA」の減少を招き、口から入った異物や外敵に対する防御力を低下させます。

スポーツや運動も、一件身体には良いことのように思えますが、あまりにも極端な運動は逆に身体にとっては疲労やストレスにつながり、同様に「免疫グロブリン」を減少させることが分かっています。

免疫力を維持するためには、日常的にストレスを溜めないこと、良い睡眠をとること、バランスの良い食事適度な運動、そしていつも「笑う」ことだ、と言われています。