石田智恵子さん1
VOICE

石田智恵子さん #1

役職 : 外来師長・がん看護外来責任者・がん化学療法看護認定看護師

所属施設 : JCHO 船橋中央病院

私自身が効果を実感していたので、
患者さんのリラクゼーションに使いたいと思いました

Q. 今回の研修を受講しようと思った理由を教えてください

A. 15年ほど前から、がん患者さんの看護に関わるようになり、2005年に「がん化学療法看護認定看護師」の資格を取得しました。
抗がん剤治療では様々な副作用への対処が求められます。「吐き気」や「痛み」といった症状は薬を使ってある程度コントロールできますが、患者さんがしばしば訴える「倦怠感」は薬での改善の難しい不快な症状です。
これまで呼吸法や漸進的筋弛緩法(※)といったリラクゼーション法による改善を図ってきましたが、「もっと患者さんが楽になる技術はないだろうか。リフレクソロジーが効果的なのでは」と考えたのが受講のきっかけです。

※筋肉の緊張を感じた際に意識的に弛緩させることができるようトレーニングする方法。

石田智恵子さん2

Q. 患者さんの倦怠感を改善するために学びたいと思われたのですね

A. 抗がん剤治療で感じる不快な症状をリフレクソロジーだけで改善できるとは思いませんが、そのリラクゼーション効果に期待しています。
私が20代の頃に初めて体験した足裏マッサージが、現在受講しているリフレクソロジーと同じ「英国式」のマッサージでした。それまで足裏マッサージには「痛い」イメージがありましたが、その時私が受けたマッサージは極めてソフトなものでした。驚いたのは、50分程度の施術でひどい肩こりが軽快したり腸蠕動が劇的に改善したりしたことでした。そのうえ、とても心地よかったのです。
それからマッサージのリラクゼーション効果に興味を持つようになり、患者さんに施術することで苦痛を与えずに楽になっていただけるのではないか、と思っていました。

石田智恵子さん3

Q. ご自身で技術を取得して患者さんにも試してみたいと

A. ええ。ただし、安全面への十分な配慮は必要だと考えています。施術によって全身の循環がよくなり心拍数が挙がったり利尿が促進されたりしますが、循環動態が安定していない患者さんには負担が大きい場合もあります。施術前後には血圧を計るなどの慎重さが求められます。
この資格を取得している看護師は多いと聞いていますので、機会があれば施術の際の経験談を聞きたいと思っ ています。もちろん施術に当たっては主治医への確認が必要だと思いますが、確認の際に医師にどういう情報を提供すればいいのかなど、経験者の話は参考になると思われます。
患者さんに施術する前に、まず医療チームのメンバーに有効性を理解してもらうことも大切だと思っています。緩和ケアの医師に施術を体験してもらう機会を設けたいと思っています。

石田智恵子さん4

Q. ここまでの研修の中で、どのような手応えを感じていますか

A. 期待どおりの内容だと思っています。現在学んでいるのは、看護学生の頃に学んだ解剖整理と同様の内容ですが、復習するつもりで学んでいます。
リフレクソロジーでは「反射区」という身体の各臓器に対応する足裏のツボについて学びますが、初めて見たときは覚えられるのか不安でした。しかし、よく見てみると、足裏のツボは人体の臓器とほぼ同じ位置関係にあります。体内の臓器の位置をイメージしながらツボの位置を覚えていけばいいんだと思って安心しました。

石田智恵子さん5
下村智加さん
VOICE

下村智加さん #1

役職 : 3B病棟 スタッフナース

所属施設 : JCHO 船橋中央病院

アセスメント力の向上にもつながると期待しています

Q. 今回の研修を受講しようと思った理由を教えてください

A. 私は、特に泌尿器の大手術をする患者さんが多い3B病棟に所属しています。患者さんによってはストマの増設などにより生じるボディイメージの変化を受け入れることができず、気分が沈んだまま退院するケースがあります。さらに、入院生活は一人の時間が長く、今後のことを悪く考えてしまう傾向があります。
これまで、傾聴に努めたり帰宅後の計画を充実させたりすることで不安の軽減を図ってきましたが、問題を解決できないことがありました。
そんなとき、リフレクソロジーには血行促進など以外に不安や疼痛の緩和効果もあると聞き、今回の研修のことを知り、受講することにしました。

下村智加さん2

Q. タッチングは不安軽減に有効だと言われていますよね

A. ええ。看護教育の中でも、タッチングには傾聴と同様、相手に安心感を与える効果があると学びます。「あなたの側にいますよ」ということを、患者さんに言葉以外の方法でも伝えていくことが大切だということです。
そのことを学ぶ前は、患者さんとの沈黙の時間はどこか気まずいものでした。しかし、患者さんにしてみれば、何らかのメッセージを発信する前に自分の中で整理するための沈黙の時間は必要です。また、何も言わないで触れているだけでも相手の気持ちが落ち着いていくことはあります。
私自分が弱っていたり悩んでいたりするときに、家族や友人に触れられるだけでも、「一人じゃない」という気持ちになれます。中には「触られたくない人」もいますので見極めは大切だと思いますが、患者さんは家と全く異なる環境で、しかも病んで弱った状態にあるわけですから、「触れる」ケアを大切にしていきたいと考えています。
3B病棟は元気になって退院する方が多いのですが、中にはターミナルの患者さんもいらっしゃいます。意思疎通は困難ですが、鎮静剤だけに頼るのではなく、リラックスしてもらうことで痛みを取る方法も探したいと思っています。

下村智加さん3

Q. 研修の内容は期待していたとおりでしたか

A. 期待以上でした。今までリフレクソロジーに関する知識は全く持っていませんでしたが、想像していたよりもずっと「奥が深い」と感じました。施術のことだけ学べばいいのかと思っていましたが、実際には解剖学的な知識や栄養学、関連する法律のことまで学ぶ必要があります。
施術以外の学習を積むことで、アセスメント力の向上にもつながるのではないかと感じています。いま患者さんの体に何が起こっているのか。このような症状があるときは、何を摂取すべきか。看護学生のころ学んだのに実践に活かせていなかったようなことが、リフレクソロジーの研修の中で様々な角度から再学習できるので、患者さんへのアドバイスにも活かせそうだと思っています。
資格取得後は、院内スタッフ全員が患者さんにリフレクソロジーの技術を提供できるよう、学んだことを伝えていきたいと思っています。そのために、まず看護師同士で施術し合って効果を知ってもらったうえで、各々がさまざまな状態の患者さんをしっかりとアセスメントし技術を提供できるようになればいいと思っています。

下村智加さん4
石田智恵子さん
VOICE

石田智恵子さん #2

役職 : 外来師長・がん看護外来責任者・がん化学療法看護認定看護師

所属施設 : JCHO 船橋中央病院

実技をいかに反復して身に着けるかが大切であると感じました

Q. JRECのカリキュラムを振り返ってみて、業務や患者ケアにおいて役立つ知識は得られましたか。

A. 私としては、解剖生理学的な分野をあらためて学べた点と、施術の中で行うカウンセリング的要素について深い学びを得られた点が特に貴重でした。
リフレクソロジーのプロの方の施術の様子を見ていく中で、ふだん関わっている患者さんの生活背景に関しての情報を積極的に得た上で、仕事の中身や食生活、またストレスになるような生活因子がないかどうかなど、身体の状態が足裏に表れてくるような要素について細かくカウンセリングを行うわけです。
私自身、JRECでの受講内容は、主にリフレクソロジーの技術を取得する目的だけで捉えていたのですが、そうしたカウンセリングのスキルに関して学べることが多かったのは意外な点でもあり、ありがたかったですね。

石田智恵子さん8

Q. 看護師としていつも行っているカウンセリングとは別の視点の内容が必要だと?

A. もちろん、それほど違いがあるというわけではないのですが、JRECでは相手に聞くべき内容のシートが用意されていて、それに沿って情報を得ていくこととともに、さらに必要と考えることを聞いていくようなイメージでした。こうしたツールを活用する方法もそうですし、患者さんとの対話を重視しながら、必要な情報をカウンセリングとして十分に把握していくことの重要性について、あらためて認識させてもらったという印象ですね。

石田智恵子さん9

Q. 実習については、実際に受けてみてどのような印象を持ちましたか。

A. 最初に施術の様子をビデオで見たときには、単に流れを見るような感じで、それをどう効果的に自分で行えば、良い施術になるのかあまりピンときていなかったのです。その流れを覚えるために、家族に協力してもらって一通り実際に施術を行ってみたのですが、案の定、「あまり気持ちよくない」という反応で(笑)。
でも実際に実技を学んで、体重のかけ方や手足の力の入れ方などを実践的に学んだことで、自分ができていなかったこと、理解できていかなったのがどこかが明確に分かったんですね。実際に自分でやってみて腑に落ちました。やはり、リフレクソロジーは実践がとても重要で、どれだけ知識を詰め込むかよりも、実技をいかに反復して身に着けるかが大切であると感じました。
また実習の合間に何名かのインストラクターの方から施術を受けて、それぞれ人によって受ける感じが微妙に違うことも分かりましたし、リフレクソロジーの奥深さをあらためて知らされた思いでしたね。

石田智恵子さん10

Q. 今回資格を取得して、そのスキルや技術を今後どのような形で生かしていきたいと考えていますか。

A. 私自身、技術はまだまだ未熟ですから、まずは実践的な場数をどんどん踏まなくてはいけないと思っています。そして今後は、私はがん患者さんに関わることが多いので、緩和ケアの面でリフレクソロジーの効果を生かすことができないかと考えています。体の倦怠感に悩む患者さんや、寝たきりになっているので気分転換が必要な方、不快感に近い痛みのある方などには、リフレクソロジーはきっと効果があると感じています。
そうした活用を実際のものにしていくためにも、院内に今回の受講内容を周知していく必要があり、その際には当然リスクの評価も重要です。さらに医師に対して効果を主張する場合には、データによる裏付けは欠かせません。だからこそ今回、JRECが発行するリフレクソロジーに関する書籍を購入して必要なデータを収集し、エビデンスをもとに医師やスタッフにリフレクソロジーの効果について紹介していきたいと考えています。

石田智恵子さん11

Q. 効果を医師に理解してもらうために必要なデータには何が挙げられますか。

A. たとえば施術前後で循環動態がどう変わっていったかを示すデータや、施術によってバイタルサインがどう変化するかを表す客観データが欲しいですね。実際に臨床の中で、ふだんのバイタルサインをチェックしながら、施術後に計測して数値変化がどうなっているのかといったデータを蓄積していくことは必要だと思います。

石田智恵子さん12

Q. 今後は、受講で学んだことを具体的にどう院内で広めていきたいですか。

A. 私1人の力で周知を徹底していくことはなかなか難しいですから、下村さんと力を合わせて具体的な企画を立てていきたいと考えています。
たとえば院内のスタッフ向けにリフレクソロジーを提供するサロンコーナーを設けて、「仕事終わりに癒しの時間はいかがですか?」と呼びかけるのも面白いのではないでしょうか。立ち寄ってくれた人に施術をすれば、私たちにとっても練習の一環にもなりますし、そこで心地良さを感じてもらえれば、リフレクソロジーへの理解や浸透にもつながるでしょう。
そして他科のスタッフからも、効果が適応する患者さんを紹介してもらって、施術を一人ひとりに提供できるような流れをつくりたいですね。そうした具体的な活動を通じながら、次のステップに進んでいきたいと思っています。

石田智恵子さん13
下村智加さん
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下村智加さん #2

役職 : 3B病棟 スタッフナース

所属施設 : JCHO 船橋中央病院

まずは自分の病棟から、スタッフや先生方に周知していきたい

Q. JRECのカリキュラムを振り返ってみて、業務やケアに役立つ知識を得られましたか。

A. 私は混合病棟に所属しているので、特に泌尿器科の末期がん患者さんの疼痛緩和などにリフレクソロジーが役立てばと考えて受講したんです。自分で実技を実際に試してみて、触れられる気持ち良さがよく分かり、リラックス効果が図れると自分でも実感できました。これから自分が実技を磨いていけば、患者さんにとっても良いリラクゼーション効果が得られるのではないかな…と期待感がいっそう高まったように思います。

下村智加さん14

Q. カリキュラムをこなしていく中で、苦労した部分などありますか?またどのように工夫して乗り越えましたか。

A. 一番は勉強の時間をいかに確保するかということでした。その点、日常的に抱えている業務がある中で、JRECの勉強を両立していくのは正直なかなか難しかったです。特にその中で実技を2日間行うのは大変で、実習では難しさを痛感しました。
ビデオを見て真似することはできても、実際に自分で行うと、体の使い方や手の位置、手と足の連動や、体重の乗せ外しなど力の入れ具合も難しい。自分の立ち位置もなかなかつかみにくく、実技は本当に苦労しました。ただ、それだけ奥が深い技術であると再認識し、逆に学ぶことの価値を感じたのも事実ですね。
工夫したという点では、友達の家に出かけて、ビデオを見ながらその子の足を借りて練習を重ねました。座学は自分で学べば頭に入ってくるものですが、実技はイメージトレーニングだけではつかめませんから、協力してくれる家族や友人がいるとありがたいですね。

下村智加さん15

Q. 実習を実際に受けてもらって、ほかにどのような学びが得られましたか。

A. 教わったすべてが新しい発見といってもよく、触られ方一つとっても、「相手にこんなふうに触れられると不安に思うんだな…」と自分で実感することも多かったです。私たち看護師はふつう爪を切ってケアにあたりますが、人に触れられてみて、「長いとこんなふうに不快なんだ…」ということがあらためて分かったり。
また興味深かったのは、足の裏のフットチャートを活用したノウハウです。足裏の反射区が人体のどの臓器と連係しているかといった内容は新鮮で、看護師として新たな知識を得ることができる一連のカリキュラムだったように思います。リフレクソロジーは、経験するごとに奥の深さを感じ、実技を通じて発見できることは数多くありましたね。

下村智加さん16

Q. 資格認定試験についてはどのような感想を持ちましたか。

A. 試験の前はまったく自信がなくて、「絶対ムリだ!」って思っていたんです(笑)。でも実際に試験に臨むと、習ったことは結構自分の頭に入っていて、意外とよくできました(笑)。振り返ってみると、座学で学んだ知識が、実技を行うことによって腑に落ちるという感じで、座学と実技がリンクすることで自分のスキルとして根付いていったように思います。
そして、日々の看護のなかで得られる知識や経験がリフレクソロジーの実践に役立つ点は少なくありませんから、看護師はとても入っていきやすい分野だとあらためて感じました。

下村智加さん17

Q. 今後、今回取得した資格やスキルをどのような形で生かしていきますか。

A. 主にターミナルの患者さまに緩和ケアの一環として活用したいという思いがあります。がん末期の患者さまには、メインの薬を使っても痛みが取れないことが少なくありません。泌尿器科にはそんな患者さまも多いので、疼痛緩和のためのリラクゼーションに活用していければ…と考えています。
また私の所属は手術が多い病棟でもあり、術前に不穏になってしまう患者さんがおられますから、リラックス目的にタッチングは有効なんです。患者さまの話を傾聴することはもちろん大事ですが、「私たちがそばにいるから」と安心してもらえるのは、やはりタッチングが効果的だと感じます。その意味でもリフレクソロジーの活用の必要性を、きちんとアセスメントをしたあとで、今後は他のスタッフにも認めてもらえるよう努めたいですね。

下村智加さん18

Q. 今の時点で、院内のスタッフの皆さんの反応はいかがですか。

A. 受講後は、それまであまり話したことがなかった先輩看護師さんからも、「こんど私にもやってね」って声をかけられることも増えました。
患者さんのケアは、誰もが共通したものを行えることが重要です。ですからリフレクソロジーも、看護師の誰もが提供できるように、今後はスタッフ間で広めていく努力をしていく必要性を感じています。まずは自分の病棟からスタッフや先生の間で周知していきたいです。その後で、患者さんに提供できるような確かなケアとして確立していきたいですね。
今回のカリキュラムをこなして、間隔を空けずに定期的に実技に触れていかなければ、感覚が鈍ってしまうという心配も感じています。今後も実技を継続できるよう、実習で友達になった人とも情報交換しながら、スキルを伸ばしていきたいと思います。

下村智加さん19

編集部より

石田さん、下村さんのお二方とも、今回の学びを、これからスタッフに広く周知しながらスキルの標準化をはかり、現場で患者さんにどう生かしていくかを考えていく段階に入っていきたいとおっしゃっています。次回は、現場導入への実践の様子を取材させていただき、読者の方々に紹介していきますのでご期待ください。

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